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ステンレスナイフ包丁の素材2

前回は錆びにくさを順に並べたりしてみたけど、一般的にナイフといったらHRC(ハードネスロックウェルCスケール)で測られた硬度指数を基準にしたくなるものです。ちなみにダイヤモンドをHRC硬度100とし、一般家庭の包丁などはHRC硬度〜57くらい。


やっぱりこのHRC(硬度)が高いとよく切れるよいナイフとイメージが良くなりますが、じつはそうとも言い切れません。それは硬度が高いだけだと、ちょっとハードな使い方(魚の骨の切断等)をしただけで刃こぼれが起きたり、ひどい時には折れてしまったりします。


このあたりは前回も書いてましたが、これを回避するには粘り強さ(靭性)が必要なわけで、今度は硬度を基準に特徴と成分を表にしたいと思います。


ちなみに、私目線の基準ですが、軽いアウトドアや釣りでの使用と家庭で研ぎが可能なナイフ、という観点でお勧めするやつは赤枠で囲ってます。

鋼材 HRC 特徴 成分
ZDP-189

1万円〜135万円
66〜68 日立金属が開発。驚異的な高硬度と耐食性があるが、粘りがないためにハードな使い方には不向きで高硬度が故に一般家庭で研ぐのは至難の業。成分は企業秘密でカーボンとクロム以外は不明。 カーボン3%,クロム20%
カウリX
(Cowry X)


3万円〜40万円
66〜68 大同特殊鋼が開発。すぐれた鏡面仕上げと輝きが得られ耐摩耗性に優れています。錆にも強く粘りもあり超高級鋼材です。刃持ちはATS-34の10倍。 カーボン3%,クロム20%,モリブデン2%,バナジュウム1%
カウリY
(Cowry Y)


1.6万〜28万
62〜64 大同特殊鋼が開発。すぐれた鏡面仕上げと輝きが得られ耐摩耗性に優れています。錆にも強く粘りもあり高級鋼材で、カウリXより硬度が低いために家庭でも高硬度の砥石があれば、なんとか研ぐことが出来ます。 カーボン1.2%,クロム14.5%,モリブデン3% ,バナジュウム1%,ニオビウム0.3%
10A
(AUS-10)


6千円〜1.2万円
59〜62 この鋼材はカーボン系の高炭素鋼にクロムを含有させた新しい鋼材である。ステンレス系刃物では錆びにくく切れ味も安定している部類 カーボン0.95〜1.1%,クロム13〜14%,モリブデン0.1〜0.3,バナジューム0.1〜0.3%,マンガン0.5%,ニッケル0.5%,リン0.04%,シリコン1%,硫黄0.3%
ATS-34

4千〜13万円
60〜61 日立金属が開発。ナイフ用鋼、耐蝕性、耐摩耗性、靭性などを高めた高品質の鋼。 実用硬度が高いにもかかわらず、刃欠けのないエッジを得る事ができます。耐食性テストでは440Cの1.3倍、耐摩耗性テストでは440Cの1.5倍の結果を示しています。ATS−34は、実用硬度、切れ味の持続性、耐食性ともにバランスのとれた最も理想的なナイフ用鋼といえます。R.W.ラブレス氏も1983年以降、154-CMからATS−34に切り扱えました。
ちなみに私が今一番ほしいのがこの→バック(BACK)のミニアルファハンター196なのです。のどちんこから手が出ます。
カーボン0.97〜1.05%,クロム14〜14.5%,モリブデン4.0%,マンガン0.4%,リン0.03%,シリコン0.35%,硫黄0.02%
154CM

3千〜175万円
60〜61 R.W.ラブレス氏が1971年に初めてカスタムナイフに使用し、実硬度の高さ、耐食性、切れ味の持続性に優れていることから、多くのユーザーから支持を受けました。 さらにボーイング707の高圧タービンに使用されるなど航空機用の鋼種。高温でも強度を保ち、耐食性、耐摩耗性にもすぐれた信頼性の高い鋼。ATS−34の登場までナイフ用の鋼としては最も優れていました。
作成するメーカーによってATS34も154CMも大差はなく、日本で作るとATS34になって、アメリカで作ると154CMになると思っても良いかもしれませんね。
カーボン1.05%,クロム15%,モリブデン4%,マンガン0.5%,シリコン0.3%
ATS-55

4千〜15万円
60〜61 ATS-34より耐食性と粘りを高め、海水でもさびにくい。ATS-34より少しだけ硬さを下げたおかげで加工がしやすく研ぎやすい。 カーボン1.0%,クロム14%,モリブデン0.6%,マンガン0.5%,コバルト0.4%,銅0.2%,シリコン0.4%,
19C27

2万円
60〜61 信頼度の高いスウェーデン製のステンレススチールです。原料の鉄の純度が高く、分子が細かい事も特徴です。 カーボン0.95%,クロム13.5%,マンガン0.65%,シリコン0.4%
S30V

4千〜13万
58〜60 アメリカで開発されたステンレス鋼。耐腐食性が高い。加工がしやすく比較的安価で良質なな商品がある。 カーボン1.45%,クロム14%,バナジウム4%,モリブデン2%,窒素0.2%
銀紙3号
(GIN-3)


5千〜3万円
59〜61 銀紙系で最も良い素材です。研ぎ易く錆びに強い素材と言えますので、和包丁に採用するステン系素材としては、非常に優れた素材だと思います。 カーボン0.95〜1.10%,クロム13〜14.5%,シリコン0.35%,リン0.03%,硫黄0.02%
V金10号
(VG10)


2千〜11万円
57〜60 純度の高い原料鉄を用い、最高の精鋼技術で作られ、靭り強く加工性、鍛造性に優れしかも有害不純物に起因する腐食性もない また、 耐磨耗性に優れた諸性質は、武生特殊鋼材?の一大特徴といえる。安価な包丁の刃先部分にのみ使用されていたりする。
錆に強く研ぎやすいので、日常使う包丁には一番お勧めです。
カーボン0.95〜1.05%,クロム14.5〜15.5%,モリブデン0.9〜1.2%,シリコン〜0.35%,リン0.03(0.3)%,硫黄0.03%,コバルト1.3〜1.5%,マンガン0.5%
440-C
(SUS-440C)


1.5千円〜300万円
57〜60 :耐腐性を高める為にクロムが多く使用され、切れ味を良くする為にカーボンを多く含有させてある。この440CとはSUS基準のカーボン含有率に応じてA、B、Cランクに分けられ、最も含有率の高いものを440Cと呼ばれている。
また錆に強い鋼材として、ベアリングのボールにも使われSmith&Wesson製の「フォールディングナイフ」シリーズの全てに使用されている。
個人的に440シリーズの中で440C以外があまりにもやわらかい為に440Cまで評価が少し下がっている気がする。440Cはきちんと作成すればかなりの高硬度が得られるために、錆びに強い手軽な鋼材だと思います。
カーボン0.95〜1.2%,クロム16〜18%,モリブデン0.45〜0.75%,マンガン1%,リン%,0.04%,硫黄0.03%,シリコン1%
ACUTO440
(グレステン)


5千〜20万
57〜60 440Bにモリブデン、バナジウムを添加したもので、結果的に440-Cに近い硬度で研ぎやすい鋼。440シリーズの中では一番錆に強い。 カーボン0.8〜0.95%,クロム17〜18%,モリブデン1〜1.5%,バナジウム0.01〜0.25%シリコン0.5%
N690

6千〜5万円
57〜60 オーストリアで開発されたステンレス鋼。440C程度の強度ではあるのだが、耐錆性に優れた鋼材。イタリアのEXTRMA RATIO製のミリタリーナイフが使用している事で知られていて、耐摩耗性と粘り強さが高くて刃持ちも良く、耐腐食性も高い。 クロム15%,モリブデン4%
V金5号
(VG5)


18,600円
57〜60 V金10号ほど刃先に硬い鋼を使用していないので、研ぎやすいというのが特徴です カーボン0.7〜0.8%,クロム13〜15%,シリコン0.5%,マンガン0.5%,リン0.03%,硫黄0.03%
X15T.N 56〜60 銃器メーカーで有名なHeckler & Koch製のフォールディングナイフシリーズで使用している事で知られている。 ジェットエンジンのベアリング部品用と医療用のメスにフランスで開発されたステンレス鋼。刃持ちも耐腐食性も高くて維持管理が簡単。 カーボン0.45%,クロム15.55%,モリブデン1.7%,マンガン0.46%,ニッケル0.3%,りん0.017%,シリコン0.23%,硫黄0.002%,バナジウム0.29%,窒素0.21%
V金2号
(VG2)
58〜 作業はやや易しい反面、VG10にくらべて切れ味は劣る カーボン6〜8%,クロム13〜15%,シリコン〜0.5%,モリブデン〜0.5%,リン0.03%,硫黄0.03%
MVS-8

5千円〜3.6万円
57〜59 MVS-8の名前の由来はM…モリブデン、V…バナジュウム、S…ステンレス、8…カーボンからきている。 カーボン0.8%,バナジュウム0.02〜0.03%
H1

3千〜6千円
57〜58 一番さびないステンレスだと思います。日本金属工業で開発された高強度オーステナイト鋼を刃物用材に明道金属が調質加工を加え生まれた合金。塩分、海水でも強い耐食性を向上させた調質加工により、靭性、硬さが得られているために刃持ちがよく、また一般砥石でも研ぐことができる。 カーボン0.15%,クロム14〜16%,マンガン2%,モリブデン0.5〜1.5%,ニッケル6〜8%,リン0.04%,シリコン3〜4.5%,硫黄0.03%,窒素0.1%
銀紙1号
(GIN-1)


2千〜3万円
57〜58 この鋼材はカーボン系の高炭素鋼にクロームを含有させた新しい鋼材である。ステンレス系刃物では錆びにくく切れ味も安定している。 カーボン0.8%〜0.9%,クロム15〜17%,タングステン0.4%,モリブデン0.45〜0.75%,シリコン〜0.35%,りん0.03%,硫黄0.02%
8A
(AUS-8)


2千円〜7万円
56〜58 愛知製鋼の鋼材。440B(SUS・440B)鋼に近い組成性質を持っている。クロム成分の含有率がやや低いが磨きやすく扱いやすい鋼材としてファクトリーナイフに多く使用されている。
グローバルの包丁はこのあたりかも。
カーボン0.7〜0.8%,クロム13〜14%,モリブデン0.1〜0.3%,バナジウム0.1〜0.3%マンガン0.5%,ニッケル0.5%,リン0.04%,シリコン1%,硫黄0.3%,シリコン1%
6A
(AUS-6)


2千円〜5万円
56〜58 愛知製鋼の鋼材。440Bに近い組成性質を持っている。研ぎ安く<、扱いやすい鋼材として工場生産に広く使用されてる カーボン0.55〜0.65%,クロム13.0〜14.5%,マンガン1%,ニッケル0.49%,リン0.04%,シリコン1%,硫黄0.03%,バナジウム0.1〜0.25%
440-B
(SUS-440B)


2千円〜7万円
54〜58 耐腐性を高める為にクロムが多く使用され、440Cよりカーボン含有率が低い為に硬度が低い、しかし錆びには強い カーボン0.75〜0.95%,クロム16.0〜18.0%,モリブデン0.75%,マンガン1%,ly0.04%,シリコン1%,硫黄0.03%
1.4116

5千円〜1.4万円
55〜57 カーボン0.5%,クロム14.5%,マンガン0.4%,モリブデン0.6%,バナジュウム0.1%
12c27

7千円〜12万円
54〜57 ステンレスは、スウェーデンのSandVicSteel社製造のもので、耐腐食はあるが硬度が低い、しかし研ぎやすい鋼材です カーボン0.6%,クロム13.5%,マンガン0.4%,リン0.02%,シリコン0.4%,硫黄0.01%, シリコン0.4%
銀紙5号(GIN-5) 50〜57 日立製鋼のステン系刃物鋼材の中で最もランクの低い素材です。炭素量が低く、不純物も多く、クロムも少ない。研ぎやすがそれ以上に刃持ちが悪い。 カーボン0.60〜0.70%,クロム12.50〜13.50%
440-A(AUS-440A) 54〜56 440-Bの下位。コスト削減鋼材。商品に440stainlessとしか書いてなかったら、440Aと思って間違いない。錆びには強いがやわらかくて果物の皮むき位にしか使えない。 カーボン0.6〜0.70%,クロム16〜18%,モリブデン0.75%,リン0.04%,シリコン1%,硫黄0.03%
420J2(SUS420J2) 50〜56 刃物用に開発された13クロームステンレス鋼材(マルテンサイト系)で、一般的に加工しやすく安価なため、一番多く使用されている。値段相応かそれ以下の商品だと思います。油断すると簡単に錆びます。 カーボン0.15%,クロム12.0〜14.0%,マンガン1%,リン0.04%,シリコン1%,硫黄0.03%,ニッケル0.4%
9Cr13CoMoV 58〜60 中国の鋼 VG-10のコピー 粗悪、放射線物質の可能性あり危険
8Cr14MoV 56〜58 中国の鋼 AUS-8のコピー 粗悪、放射線物質の可能性あり危険
3Cr13 54〜56 中国の鋼 粗悪、放射線物質の可能性あり危険

と、がんばって表にしました。

理想はカウリYでしたが、砥ぐのが大変そうというのとなにより高価すぎて手が出せなとの理由から諦めて、スパイダルコのATS-55材のドラゴンフライを購入したわけです。



刃の厚みは2mmほどで刃渡りは50mmくらい、とにかくサムホールが使いやすくて開いたときには、きちんと自動でロックする機能ありながら片手で開閉が可能である。

VG10のドラゴンフライはデザインのラインナップが豊富で格好良かったような気もしますが、市場にATS-55のナイフがあまり出回ってないので、興味本位でats55にしました。

使用した感想は、まずサクサク切れますが、どちらかというと研いだ時に154CM鋼のほうが刃がつきやすく、切れるといった感覚がありました。
実際砥いでみても154CMの方が刃がつきやすいと思いましたが、わたしのアウトドアスタイルからすると、じゅうぶんな高度があり理想通りの刃もつきます。

それになにより錆への耐性はダントツでATS-55でした、フォールディングナイフでこれはかなり重要な要素だと思います。



記事:kaimi 16:14 |カテゴリー(自然・釣り・用品::ナイフ) | コメント (7) | トラックバック (0)
コメント
読んでて、頭がくらくらしてきました
けど、ぼくは工業高校だったので、ある程度、習ったはずですが、アボーンです
名前 : wan | mail | URL | 09-11-30 20:53 | KWOPbOnM
wanさんは工業系だったのですか、良いですね〜

私はなんの夢も希望も無い普通科だったので、なんらかの専門知識にあこがれてましたよ。
名前 : kaimi | mail | URL | 09-12-01 10:44 | tinLQHnE
こんにちは、
なんか難しいけど、包丁買う基準にしたいと思います。
名前 : あゆみ | mail | URL | 09-12-02 16:50 | GjK8FfUI
あゆみさんこんにちは^^

包丁ですか?
女性でこのページにたどり着くとは、なかなか調べまくってますねw

とりあえず砥ぐ時のことを基準にして、硬すぎない鋼材を選ぶとよいですよ。
名前 : kaimi | mail | URL | 09-12-02 18:12 | tinLQHnE
アドバイスありがとうございます^^

砥ぎやすさも重要ですよね、でも私の場合は近くのスパーあたりで砥ぎをお願いしそうですが・・・

とりあえず今はグレステン?ていうやつと

VG10を悩んでるところです。
名前 : あゆみ | mail | URL | 09-12-03 10:00 | GjK8FfUI
おお!
グレステンとvg10とは良いところですねぇ

vg10の安い奴3,000円くらいのやつは刃の部分だけに使われてる包丁で、1万以上するようなやつは刃全体がVG10でできてるやつです。

値段の高い前者の包丁は買わないように気をつけてくださいね〜

私的には良い悪いは別に、グレステンが気になってます・・・
名前 : kaimi | mail | URL | 09-12-03 12:20 | tinLQHnE
てすと
名前 : てすと | mail | URL | 10-04-28 16:19 | tinLQHnE
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